積分法

定積分と不等式

積分を利用した不等式の証明

積分法の「定積分と不等式」を、答えを先に押さえてから理解できる形に整理したページです。「積分を利用した不等式の証明」でつまずきやすい点も含めて、学習の流れを短く確認できます。

数学Ⅲ 約13分 難易度 3 図つき

このページのまとめ

先に押さえておくこと

定積分と不等式の要点をまとめたページです。先に答えを確認してから、解き方とつまずきやすい点を順にたどれます。

答えの要点

図と式の対応や答えの条件を、先に短く確認できます。

  • テーマ: 積分を利用した不等式の証明
  • ポイント: 積分法の要点を、図と式を往復しながら確認しやすい記事です。
  • 次に読むなら: 関連ページ、またはアプリで類題演習

問題

0≦x≦π20 \leqq x \leqq \frac{\pi}{2} のとき、次の不等式を証明せよ。

2π≦sin⁡xx≦1\displaystyle\frac{2}{\pi} \leqq \frac{\sin x}{x} \leqq 1

答えを見る

【証明】

0<x≦π20 < x \leqq \frac{\pi}{2} のとき、sin⁡x≦x\sin x \leqq x を示す。

f(x)=x−sin⁡xf(x) = x - \sin x とおくと、f′(x)=1−cos⁡x≧0f'(x) = 1 - \cos x \geqq 0 より f(x)f(x) は単調増加。

f(0)=0f(0) = 0 より、x>0x > 0 のとき f(x)>0f(x) > 0 すなわち sin⁡x<x\sin x < x

よって sin⁡xx≦1\frac{\sin x}{x} \leqq 1 が示された。

次に、0<x≦π20 < x \leqq \frac{\pi}{2} のとき sin⁡x≧2xπ\sin x \geqq \frac{2x}{\pi} を示す。

g(x)=sin⁡x−2xπg(x) = \sin x - \frac{2x}{\pi} とおくと、g′(x)=cos⁡x−2πg'(x) = \cos x - \frac{2}{\pi}

g′′(x)=−sin⁡x<0(0<x<π2)g''(x) = -\sin x < 0 \quad (0 < x < \frac{\pi}{2}) より g′(x)g'(x) は単調減少。

g′(0)=1−2π>0g'(0) = 1 - \frac{2}{\pi} > 0,   g′ ⁣(π2)=0−2π<0\; g'\!\left(\frac{\pi}{2}\right) = 0 - \frac{2}{\pi} < 0 より、g′(x)=0g'(x) = 0 の解が 0<x<π20 < x < \frac{\pi}{2} にただ1つ存在する。

したがって g(x)g(x) は最初増加してから減少する。

g(0)=0g(0) = 0, g(π2)=1−1=0g\left(\frac{\pi}{2}\right) = 1 - 1 = 0 と合わせて、0≦x≦π20 \leqq x \leqq \frac{\pi}{2} で g(x)≧0g(x) \geqq 0

よって sin⁡x≧2xπ\sin x \geqq \frac{2x}{\pi} すなわち sin⁡xx≧2π\frac{\sin x}{x} \geqq \frac{2}{\pi} が示された。

∴  2π≦sin⁡xx≦1‾\therefore \; \underline{\frac{2}{\pi} \leqq \frac{\sin x}{x} \leqq 1}

解説

定積分と不等式の証明問題について解説します。

この問題は、微分を用いた関数の増減調査と、sin⁡x\sin x と xx の大小関係を扱う典型的な不等式証明です。

0≦x≦π20 \leqq x \leqq \frac{\pi}{2} のとき、2π≦sin⁡xx≦1\frac{2}{\pi} \leqq \frac{\sin x}{x} \leqq 1 を証明せよ。

この不等式は2つの部分に分けて証明するよ。まず右側の sin⁡xx≦1\frac{\sin x}{x} \leqq 1 から見ていこう。

【右側の不等式: sin⁡xx≦1\frac{\sin x}{x} \leqq 1】

sin⁡xx≦1\frac{\sin x}{x} \leqq 1 は、sin⁡x≦x\sin x \leqq x と同値です(x>0x > 0 より)。

f(x)=x−sin⁡xf(x) = x - \sin x とおいて、f(x)≧0f(x) \geqq 0 を示します。

f′(x)=1−cos⁡x≧0(0≦x≦π2)f'(x) = 1 - \cos x \geqq 0 \quad (0 \leqq x \leqq \frac{\pi}{2})

よって f(x)f(x) は単調増加です。

f(0)=0f(0) = 0 より、x>0x > 0 のとき f(x)>0f(x) > 0 すなわち x>sin⁡xx > \sin x

したがって sin⁡xx<1\frac{\sin x}{x} < 1 が成り立ちます(x=0x = 0 では極限で 1)。

左側の不等式はどう証明すればいいですか?

同じように、g(x)=sin⁡x−2xπg(x) = \sin x - \frac{2x}{\pi} とおいて調べるんだ。

こちらは g′′(x)g''(x) まで調べて、g(x)g(x) の増減を正確に把握するのがポイントだよ。

【左側の不等式: sin⁡xx≧2π\frac{\sin x}{x} \geqq \frac{2}{\pi}】

g(x)=sin⁡x−2xπg(x) = \sin x - \frac{2x}{\pi} とおくと、

g(0)=0g(0) = 0
g(π2)=1−2π⋅π2=1−1=0g\left(\frac{\pi}{2}\right) = 1 - \frac{2}{\pi} \cdot \frac{\pi}{2} = 1 - 1 = 0

g′(x)=cos⁡x−2πg'(x) = \cos x - \frac{2}{\pi},   g′′(x)=−sin⁡x\; g''(x) = -\sin x を調べます。

0<x<π20 < x < \frac{\pi}{2} で g′′(x)=−sin⁡x<0g''(x) = -\sin x < 0 なので、g′(x)g'(x) は単調減少です。

g′(0)=1−2π>0g'(0) = 1 - \frac{2}{\pi} > 0,   g′ ⁣(π2)=0−2π<0\; g'\!\left(\frac{\pi}{2}\right) = 0 - \frac{2}{\pi} < 0 より、g′(x)=0g'(x) = 0 の解が 0<x<π20 < x < \frac{\pi}{2} にただ1つ存在します。

したがって g(x)g(x) は最初増加してから減少する山型の関数です。

g(0)=0g(0) = 0, g(π2)=0g\left(\frac{\pi}{2}\right) = 0 と合わせて、0≦x≦π20 \leqq x \leqq \frac{\pi}{2} 全体で g(x)≧0g(x) \geqq 0 が成り立ちます。

よって sin⁡x≧2xπ\sin x \geqq \frac{2x}{\pi} すなわち sin⁡xx≧2π\frac{\sin x}{x} \geqq \frac{2}{\pi} が示されました。

0 0.5 1 1.5 0.5 1

上のグラフは y=sin⁡xy = \sin x を示しています。

この曲線は、直線 y=xy = x より下側、直線 y=2xπy = \frac{2x}{\pi} より上側に位置していることがわかります。

つまり、0≦x≦π20 \leqq x \leqq \frac{\pi}{2} において 2xπ≦sin⁡x≦x\frac{2x}{\pi} \leqq \sin x \leqq x が成り立ち、両辺を xx で割ると 2π≦sin⁡xx≦1\frac{2}{\pi} \leqq \frac{\sin x}{x} \leqq 1 が得られます。

このページのまとめ

ここでは定積分と不等式について学習しました。

微分を用いた増減調査と、両端での値の確認が重要なポイントです。

このタイプの証明問題は頻出なので、しっかり練習してくださいね!

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